よい文章とは?「オリジナル」の文章を書くためのレッスン
素敵なことばや文章に出会うと、素直に感動します。
まっすぐ心に響くことば、じんわりと染み入るようなことば。
その場の空気や音、手触りまでも感じさせるような表現力。
優れた文章は何が違うのでしょうか?
語彙力?文章力?
それだけでは、人の心を打つことはできません。
人の心を打つ文章を書けるかどうか。
それは「体験」と、「言語化する力」にあります。
よい文章の条件
今読んでいる、梅田卓夫著「文章表現 四〇〇字からのレッスン」に、こんな一節があります。
よい文章とは、
①自分にしか書けないことを
②だれにもわかるように書く
ということを実現している文章。
これがひとつでも、あるいは両方欠けている場合には、よい文章とはいえない、と。
①自分にしか書けないこと、というのはまさに自分が「体験」したこと。
体験によって、そのことについて知っている・何かしら感じたものがある、ということ。
②だれにもわかるように、というのは、自分の中にあるぼんやりとしたもの・抽象的な事柄を他人にもわかるように「言語化」したもの、といえます。
自分のなかの「ことば」を増やすには
「体験」することでしか得られないものがあります。
それは技術的なことであったり、感覚的なものであったり。
旅行に行ったり、どこかに何か特殊な経験をすることだけが「体験」ではありません。
昔通った通学路を歩いてみる。
どんな草花が生えているか観察してみる。
子供の頃のように枯葉を踏んでみる。
金木犀の香りがどこから漂っているのか、周囲を見渡してみる。
ここにあったのか、と発見する。
普段見過ごしてしまうものでも、意識を向けることで音や香りを体験できます。
このように、「体験」を日常的に意識すると、自分の中に「ことばのモト」が蓄積されます。
自分のなかにある感覚を「ことば」にする
「赤」という色ひとつにしても、それはいつか見た夕焼けの赤であったり、色褪せたランドセルの赤であったり、肉感的な唇の赤であったりするように、それぞれに自分の中の「赤」があります。
これまでの体験で見て、聞いて、感じて、触ったものや事柄は「ことばのモト」です。
体験によって得た「暖かさ」「やわらかさ」「怖さ」「衝撃」などの感覚的なものは、あくまでも「自分にしかわからない感覚」で、極めて個人的なものといえます。
それを、他人にも伝えるために「言語化」する。
自分の感じた手触りや感動をどうやって伝えようか。
それを他人にも理解してもらうために「ことば」があるのです。
体験(ことばのモト)はメモしよう
「文章表現 四〇〇字からのレッスン」のなかで、梅田氏はこのようにいっています。
「自分にしか書けないこと」を見つけるために、まず最初にすべきことは、自分の中にことばをさがし、イメージや感覚を断片的なことばによって書き留めることです。
(中略)
文章の内容を形成することば(断片)を時間をかけて蓄積することです。それをまじめに行うことが、よい文章を能率的に書く近道です。
ことばを蓄積する。
そのストックが多く、かつ言語化する力に長けているほど「よい文章」が書けるということですね。
「言語化する力」をつけるためには、梅田式のレッスンがあるのですが、こちらはまた別の機会に書きたいと思います。