どらママの日記

Webライターの雑記ブログ

【胞状奇胎術後】術後の定期検診、予後の管理について。胞状奇胎は手術をして終わりじゃない!

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こんにちは!

2018年7月に全胞状奇胎の診断を受け、2回の子宮内容除去術を施行、現在は経過観察中のどらママです。

 

今回は術後の定期検診についてのお話です。

胞状奇胎と疑われてまず受ける治療は、速やかに手術をして病変を取り除くことです。

しかし、手術で悪いところを取ったからオッケー!!という簡単な病気でもないのです。

胞状奇胎について勉強すればするほど、「術後の経過観察が胞状奇胎の予後を左右する。だから定期検診はサボらず確実に受けよう!!」という確信を得たので、今回はそれについてお話しします。

 

私自身の実体験と主治医からの説明をもとに、学術誌で調べた内容を織り交ぜてお話ししますね。

参考にした文献はこちらです。

 

胞状奇胎は手術をして終わりじゃない!予後管理が非常に重要

胞状奇胎の治療は、発見されたら速やかに子宮内容除去術を行い、その1週間後に再度同様の手術を行います。

そして、とても重要なのが「手術をしたら終わり」ではなく、「術後も定期検診を確実に受ける必要がある」ということです。

 

これは、胞状奇胎という病気の予後に関係します。

胞状奇胎は、ざっくりいうと胎盤をつくる絨毛という組織が水ぶくれの状態に変化し、異常に増殖する病気」です。

そして、この絨毛組織が子宮の筋層や血管へ入ってしまうと、「侵入奇胎」「絨毛がん」へと移行し、場合によってはがんが全身に転移することもあるのです。

 

このような危険性をはらんだ病気であるため、術後少なくとも3年間は定期検診を受け、経過を見ていく必要があります。(長っ!!)

 

胞状奇胎術後の予後は?なぜ定期検診が重要なの?

胞状奇胎は、血液検査でhCG(絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが異常な高値を示しますが、手術で病変を除去すると、hCG値は徐々に減少するのが通常です。

 

しかし、「hCG値が減少が乏しい・もしくは一旦減少したhCG値が再び上昇する」ことがあり、そのような場合「侵入奇胎」や「絨毛がん」を疑います。

「侵入奇胎」「絨毛がん」は、臨床的には「腫瘍」として扱われるため、化学療法や病巣部位の摘出手術が必要です。

 

もちろん、これらの病気と結論付けるには臨床所見や画像検査などの診断が必要ですが、まずは「血液検査でhCG値が異常値(高値)を示している」ことが診断の第一歩となります。

 

このように、定期的にhCG値をチェックすることで異常の早期発見が可能となるため、定期検診が非常に重要なのです。

 

定期検診の頻度と、術後hCG値の推移

私は2018年7月末に初回手術・8月初旬に2回目の手術を受け、現在(2018年9月時点)は2週に1回の定期検診を受けています。

 

その都度血液検査と、医師の問診・内診を受けていますが、現在のところhCG値は順調に減少しています。

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*先日、写真の「絨毛性疾患管理手帳」というものをもらいました。

定期検診の際に提示すると、術後のhCG値を記入してくれます。

 

「絨毛性疾患取扱い規約【第3版】」によると、

胞状奇胎娩出後、5週で1,000mIU/mL、8週で100mIU/mL、24週で血中hCG値カットオフ値(0.5mIU/mL)の3点を結ぶ線を判別線とし、いずれの時期でもこのラインを下回る場合を経過順調型(Ⅰ型)とし、いずれか一つ以上の時期でこの線を上回る場合を経過非順調型(Ⅱ型)と分類する。

とされています。

そして、この判別線を上回る場合には、画像検査などの精密検査が必要になります。

 

▼ 参考までに、私のhCG値の推移はこちらになります。

 術前 177814.4mIU/mL

術後1週 5392.8mIU/mL

術後2週 600.1mIU/mL

術後4週 51.0mIU/mL

術後6週 9.0mIU/mL

 

 

私の居住する神奈川県の「神奈川県産科婦人科医会」では、「胞状奇胎の患者様へ」という説明文を提示しています(説明文は、かかりつけの病院でもらいました)。

以下、重要な部分を抜粋してご紹介します。

(文章の流れ上、実際の説明文と記述の順番が前後している部分があります。また、文字の装飾は私自身が行っています。ご了承ください)

 

胞状奇胎と診断された後の管理には、一次管理と二次管理があります。

一次管理とは、手術後半年間をさします。(中略)定期検診は、手術後12週間、またはhCG値が陰性化するまでは少なくとも隔週1回(2週間毎)、その後は主治医の指示により1カ月に1回(4週間毎)受けてください。(中略)自覚症状がなくても、必ず主治医の診察を受け、その指示に従うことが重要です。また、次の妊娠が許可されるまでは必ず避妊をしてください。

二次管理とは、一次管理が順調に経過した後、異常を早期発見するために行われる管理のことです。通常3~4年程度、管理することが必要です。

 

このように、定期検診の重要性が強調されています。

それほど胞状奇胎という病気は、予後の管理が大切ということですね。

 

私の場合も、現時点では順調にhCG値が減少していますが、いつ再上昇するかわかりません。

 

侵入奇胎の場合、一次管理中にhCG値が経過非順調型を示すことが診断の手がかりとなります。

絨毛がんの場合は、術後半年を過ぎhCG値が陰性化した後の二次管理中にhCG値の再上昇(妊娠を除く)があれば、その発症が疑われます。

(臨床婦人科産科 2012 Vol.66 No.8より引用、一部表現を変えています)

 

「hCG値が順調に減少している」「hCG値が陰性化した」というのは一つの通過点であり、その後少なくとも3年間は慎重に経過を見ていかないと、100%安心はできないということです。

 

胞状奇胎と診断された方はもちろんですが、患者さんを取り巻く周囲の人々(家族、知人、職場の上司や同僚など)にも胞状奇胎という病気やその予後、検診の必要性について十分理解してほしいと感じました。

 

 

今回参考にした文献はこちらです。

専門用語が難しく感じるかもしれませんが、内容としては読みごたえがあります。