どらママの日記

Webライターの雑記ブログ

【胞状奇胎】染色体異常という言葉の呪いで、自分を責めてしまうあなたへ。

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胞状奇胎という病気は、「染色体異常に起因する異常妊娠」です。

胞状奇胎と言われ、私が一番気にかかったのは「私の卵子が異常だったのではないか」ということ。

流産や胞状奇胎を経験し、私と同じように感じた人が少なからずいるのではないかと思い、この記事を書くことにしました。

 

染色体異常という言葉の呪い。

私は現在36歳。高齢出産の年齢に達し、生活習慣は不規則とまではいかないものの、偏食がちで運動もろくにせず、仕事などのストレスも抱えていました。

 

関係ないかもしれませんが、現在2歳半の第2子は、生後1ヶ月で先天性心疾患が見つかり手術を受けています。

さらに、第2子を授かる前、2度の化学的流産を経験しました。

 

いずれの場合も、「私のせいではないか」と考えたものです。

 

妊娠にまつわる問題は非常にデリケートで、ひとりの問題ではなく相手がいるからこそ、いろいろと考え悩むことが多いのです。

 

胞状奇胎は2種類に分類されます。

 

ひとつは「部分胞状奇胎」

ひとつの正常な卵子に、同時にふたつの精子が受精することが原因で起こります。

正常な妊娠は、母親(卵子)由来の染色体23本と、父親(精子)由来の23本を合わせた46本の染色体をを持ち分裂増殖します。

部分胞状奇胎の場合、ふたつの精子が同時に受精するため、卵子由来23本+精子由来46本=69本の染色体となり胎児がうまく育ちません。

しかし、一部染色体が正常な部分もあるため、胞状奇胎でありながら胎児(胎芽)組織も存在することになります。

 

もうひとつは「全胞状奇胎」

受精時に卵子の核が不在のまま、精子由来の核だけが分裂増殖するために起こります。

もともと核を持たない卵子精子が受精するケースと、受精時に何らかの理由で卵子の核が消えてしまうケースがあります。

全胞状奇胎の場合46本すべての染色体が精子由来の染色体となるため、正常な胎芽が育つことはなく絨毛組織だけが異常増殖するのです。

 

私は子宮内除去術跡の病理検査の結果、「全胞状奇胎」でした。

結果を知り、私の頭に浮かんだのは精子は正常だったけど、私の卵子が異常だった」という思い。

 

実際には、この認識は正しいとは言えません。

胞状奇胎という病気自体、はっきりとした原因がわかっておらず、なぜ卵子由来の核がなくなってしまうのかも正確にはわかっていないのです。

 

それでも、「核を持たない卵子」という言葉は、私に強烈な自責の念を与えました。

「私の卵子は、異常」

まさに、言葉による呪いを自分自身にかけていました。

 

胞状奇胎の原因は、はっきりとわかっていない

胞状奇胎の原因は、いまだはっきりとわかっていません。

40歳以上の高齢妊娠もしくは20歳未満の若年妊娠で発生率が高くなるということや、全胞状奇胎の場合、女性より男性の高齢化がリスクを高めるという傾向はあるものの、「これ」という明確な原因がわかっていないのです。

だから、予防法も確立されていません。

 

染色体異常による病気なので、やはりどちらかの染色体に問題があるか、受精や細胞分裂の過程で染色体に何らかの変異が起こり異常妊娠になるというのは間違いありません。

将来、研究によってより詳細な原因が解明され、「どちらの染色体にどのような異常があったか」「どの過程で染色体異常が起きたか」ということが明確に究明されれば、予防法や治療法が確立され、胞状奇胎で苦しむ人も減るのでしょう。

 

しかし、私は懸念するのです。

もし「あなたの卵子が異常でした」とか、「旦那さんの精子によって卵子の核が破壊されました」とはっきり宣言されたら?

 

 胞状奇胎になって、ある日夫に「ごめんね」と言われた

「胞状奇胎の疑いがある」と言われ、すぐにネットで病気のことを調べ、わかりやすいサイトの文章をプリントして夫に渡しました。

一応看護師なので、専門用語はわかりやすい言葉にして、病気のことを伝えました。

 

夫は「ふーん」といった感じで、他人事な反応。

 

しかし、2回目の子宮内容除去術を終えたある日、夫に突然言われたのです。

「ごめんね。どらちゃんに辛い思いさせてごめん。どらちゃんばっかり痛い思いさせてごめん」と。

私は驚きました。

 

夫がそんな思いを抱えているなんて、夢にも思わなかったから。

 

卵子が異常」の呪いが解けるとき

「私の卵子が異常」と自分で自分に呪いをかけ、でもそれを認めたくなくて、夫とは今回の病気のことについてあまり深く話せていませんでした。

 

夫に「ごめんね」と言われたとき、「夫も自分を責めていたのかもしれない」と感じました。

今まで自分のことばかりで、夫の気持ちまで考えが及ばなかった。

夫も病気のことを調べ、少なからず「自分自身に問題があったのでは」と考えたのでしょう。

 

「あなたのせいじゃないよ。」

「どっちのせいとかじゃない。きっと大丈夫。元気になるよ」

 

夫に対してそう言ったとき、「私の卵子が異常」という自分自身への呪いも解けたような気がしました。

 

流産・異常妊娠は辛い。でも、夫婦で乗り越えよう。

我が家は普段、夫婦仲は良くも悪くもない(どちらかというと、あまり良くないことの方が多い)のですが、自分が弱っているとき、「夫がいてくれてよかった」と心底思います。

普段は優しくないし、気も効かないし、ぼーっとしていて私をイラつかせる夫ですが、本当に私が弱っているときは本来の優しさを発揮します。

 

流産・異常妊娠は辛い。本当に辛いです。

でも、それは自分だけじゃない。夫も同じように苦しんでいる。

 

「どっちの染色体が悪い」なんて、そんなのわからなくていいしどっちでもいい。

 

夫婦で乗り越えていければ。

 

そのためにも、悲しい出来事や辛い思いほど、目をそむけないで夫婦でちゃんと話すべきですね。

 

胞状奇胎になったら思いがけず夫の優しさを再確認できて、悪いことばかりじゃないと思ったよ!というお話でした^^

 

おわり。